バリアフリー観光推進セミナー in 下呂 開催しました


GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクトでは、観光施設のバリアフリー状況の調査・取材をさせていただきWEBサイト「ふらっと旅ぎふ」等で紹介する他にも、受け入れ体制の向上のため、バリアフリーの先進的な取り組み事例を紹介したり、障がいのある方や高齢者の課題などを学び接遇技術の向上やサポート体制を強化するための研修なども行なっています。

11月20日(月曜日)、下呂市交流会館アクティブにて「バリアフリー観光推進セミナーin下呂」を開催しました。

岐阜県観光企画課より岐阜県のバリアフリー観光の取り組みを紹介

講演 先進事例の紹介

午前中の講演では、先進的にバリアフリーツーリズムに取り組んでいる事例を紹介するということで、松江しんじ湖温泉 旅館「なにわ一水」代表取締役 勝谷有史さんに、「バリアフリー化で売上アップ、お客様も従業員も笑顔に」というテーマでお話いただきました。

平成28年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 内閣府特命担当大臣表彰優良賞を受賞されたなにわ一水の勝谷社長

島根県松江市の宍道湖の畔に建つ1918年創業の老舗旅館「なにわ一水」では、「旅館のバリアフリー化は、商売としても従業員にとっても、十分な合理性があり、将来に向け重要な取り組みである」をモットーに、障がいのあるお客様を積極的に受け入れ、10年前から、4階、3階と段階的にバリアフリー対応をすすめ、昨年、2階に全国屈指の広さの露天風呂付きバリアフリールームもオープンされたそうです。

その他にも、パブリックスペースに「多目的トイレ」を2箇所設置、宿泊業界では前例のない、車いすが2台乗れるタイプの「送迎用マイクロバス」の導入のほか、聴覚障がいのあるお客様とのコミュニケーションを円滑にするための「筆談ボード」の導入や、視覚障がいのあるお客様が触れて設備などの位置が分かる「触知地図」の配付など、様々な面で積極的にバリアフリーに取り組まれています。

経営者でありながら車いすの介助もこなす、なにわ一水の勝谷社長。手に持っているのは、実際に導入されている「筆談ボード」。

セミナーに参加された方からは、建物や設備などの「ハード面」だけでなく、スタッフの接遇向上などの「ソフト面」の強化が重要で、バリアフリーへの取り組みは、お客様のためだけでなく、旅館で働くスタッフの皆さんの利便性や意欲向上にもつながっていくという話がとても参考になったという感想を多くいただきました。

勝谷社長ご自身も、障がいのある方が暮らしやすい社会をつくることを目的とした「あいサポート運動」にも積極的に参加し、メッセンジャーとして誰もが暮らしやすい地域社会のための橋渡し役として活動されているとのことです。

なにわ一水では、旅館の和の佇まいにこだわりつつ、多様なお客様に特別な時間を安心して楽しんでいただくために、勝谷社長はじめ社員の皆さんで、設備だけでなくおもてなしにも様々な工夫や努力を重ねておられる点が、お客様に好評をいただいているのではないかと感じました。

研修 バリアフリーおもてなし講習

実際に車いすを操作しながら、施設内を散策しました

午後からは、バリアフリーおもてなし講習として、ふらっと旅ぎふに掲載する県内の観光施設のバリアフリー状況を調査するスタッフによる車いす利用者への接遇・サポート実習を行いました。

車いすに乗って操作し目線の低さや狭い場所の通過、段差の体験もしました

障がい者・高齢者、車いすについて座学で学んだ後、会場内に作ったコースや施設内のスロープ、トイレ、エレベーターなどを実際に車いすを自分で操作、車いすを介助する・されると立場を変えて利用していただきました。

スロープを体験中

参加された方からは、普段は気にならない小さな段差や坂道も、実際に車いすを操作してみると大きく感じ、車いすに乗っている人の気持になって接したり介助することが大切であるという感想をいただきました。

午前の講演、午後の研修の両方に参加された方もおられ、バリアフリー観光について深く学んでいただくことが出来ました。
障がいのあるお客様を受け入れるには、設備などのハード面と、人的な支援などのソフト面の両方が充実することが望ましいですが、すべての課題を一度に解決することは難しいので、出来ることからはじめていただき、多様なお客様に安心して岐阜県の旅行を楽しんでいただけるようバリアフリー観光推進に取り組んでいただけると嬉しく思います。

今後も、セミナーや研修を開催していきますので、是非ご参加ください。