GIFU・バリアフリー観光推進プロジェクトでは、観光施設のバリアフリー状況の調査・取材をさせていただきWEBサイト「ふらっと旅ぎふ」等で紹介する他にも、受け入れ体制の向上のため、バリアフリーの先進的な取り組み事例を紹介したり、障がいのある方や高齢者の課題などを学び接遇技術の向上やサポート体制を強化するための研修なども行なっています。
2月1日、高山市にある飛騨・世界生活文化センターにて「バリアフリー観光推進セミナー in 高山」を開催しました。
講演 先進事例の紹介
午前中の講演では、山崎まゆみさん(温泉エッセイスト VISIT JAPAN大使)に「世代をこえて楽しむ温泉旅行のすすめ」~バリアフリーで温泉に新たな活路をテーマにお話いただきました。
山崎さんは、これまで世界31カ国1000ヶ所以上の温泉を巡り、新聞、雑誌、著書、テレビ、ラジオなどで広くその魅力を伝えています。
また「ユニバーサルデザイン2020関係府省連絡会議 街づくり分科会(内閣官房)」にも参画し、東京オリンピック・パラリンピックに向け、バリアフリー温泉の推進に力を注いでいます。
2015年には、これまでの活動で培ってきた温泉の深い知識や経験と、体が不自由な方やお年寄りにも気軽に温泉に入ってほしいという熱い思いから「施設」だけでなく「心」の面でも優れたバリアフリーの温泉宿を選び、実際に現地へ行き取材をして「バリアフリー温泉で家族旅行」を執筆されました。
詳しいデータと図や写真でバリアフリー状況を詳細に掲載し、長年温泉を取材してきた視点で、山崎さん自身が行きたいという温泉宿の魅力を紹介するという、これまでにはなかったガイドブックとなっていて、多くの反響により2017年10月に第二弾「続・バリアフリー温泉で家族旅行」も発売されました。
今回の講演では「明日から始められるバリアフリー温泉その心得」と題し、これまで取材で訪れた全国のバリアフリー温泉の事例を中心に紹介していただきました。
実際に取材した様々なバリアフリー事例を写真付きで分かりやすく紹介し、大掛かりな施設の改修ではなく、身近なところから取り組める工夫や、用具の活用など具体的な事例をお話いただきました。
そして、バリアフリーという言葉を難しく考えず、お客さまの希望を「できない」と思うのでなく「できることを探す」という姿勢で取り組めば良いとお話されました。
また、アメリカのバリアフリー温泉の話もあり、コロラドの温泉施設では、入浴用の設備などハード的なバリアフリーも整備されているが、その入浴設備は殆ど使うことはなく、お客さんの状況に応じてスタッフが都度人的な対応をしているという話も大変興味深いものでした。
セミナーに参加された方からは「バリアフリーはハードだけでなくハートが大切で、今後はバリアフリー情報の開示や便利な道具の利用など積極的に取り組んでみたい」や「バリアフリーに対して気負わず、身近なところから気を楽にして取り組みたい」などの感想をいただきました。
山崎さんは、講演の2日前から飛騨に入られ、奥飛騨温泉郷と飛騨高山温泉のバリアフリー温泉の取材をし、奥飛騨の雪見露天風呂も堪能されたそうです。
研修 バリアフリーおもてなし講習
午後からは、バリアフリーおもてなし講習として、車いすユーザーのバリアフリー調査スタッフが講師を務め「車いす利用者への接遇・サポート実習」を行いました。
障がい者・高齢者、車いすについて座学で学んだ後、会場内に作ったコースや施設内のスロープ、トイレ、エレベーターなどを実際に車いすを自分で操作、車いすを介助する・されると立場を変えて利用していただきました。
参加された方からは「初めて車いすに乗ってみて恐怖感も体験できたので、今後は相手の気持ちに寄り添って接客したい」という感想もいただきました。
前週の寒波で高山市内にも雪が残り、丘の上にある会場へ来るまでの道路には結構な雪が積もり車のタイヤも滑るような状況でしたが、そんな中でも会場へ足を運び講師の話に熱心に耳を傾けていただきました。
山崎さんもお話されていましたが、どうしても「バリアフリー」という言葉が独り歩きして「エレベーターやスロープを設置しなければならない」という印象を与えてしまいがちですが、あまり重くとらえず、声がけやちょっとした工夫など身近なところからスタートしていただければ嬉しく思います。
一歩づつですが、多様なお客様が安心して岐阜県を訪れていただけることに繋がればと思います。
今後も、セミナーや研修を開催していきますので、是非ご参加ください。